もう会えない君。



私達は病院を出て、いつも通り、駅前で別れた。


皐が目を覚ましたのはそれから一週間後の出来事だった。
珍しく、悠の携帯が鳴った。
それは病院からで皐が目を覚ましたという報告が入った。


それを聞いた隼は誰よりも喜んでいた。
放課後になるが待ち切れなくて学校を抜け出し、病院に行ったのは言うまでもない。


集中治療室から個部屋に移動した皐の元へと向かう。
扉を開けるとすぐに皐が笑顔で「久し振り」って言ってくれた。


まだ傷は残ってるみたいだけど、一週間前に比べると良くなってる方だった。


私と悠は購買に行って何か買ってくるとだけ言い残して病室を出た。
二人きりにしてあげたいと思うのは悠も同じだったらしい。


「皐くん、個部屋に移れてよかったね」

「だな!隼も元気出てるみたいだったし、それに何も起きなかったしな」
…そう。
一週間、何も起きなかった。
由香里さんの姿を見る事もなかったし、悠の家にも何もなかった。


しばらくして一階にある購買に着いた。


パンやおにぎり、惣菜やお菓子…果物もあれば、雑誌もあった。