もう会えない君。



「自分を責めちゃ駄目だよ…」

「だけど、」

「隼は悪くない。自分を悪く言わないで?」

「……凛…」

「犯人が由香里さんだったとしても隼は悪くない」

「………」

「皐くんだって隼を悪く言わないと思うよ?」

「…ありがとな」

隼は機械類に囲まれたままの皐に視線を送った。
いつになったら目を開けるのかは分からない。
それでも生きてる事を嬉しく思うのは誰でも同じだと思う。


――カツカツとヒールの音を響かせて近付いてくる人物が居た。


悪魔は…
隼を奪おうとしていたんだ。


「とりあえず、帰るか」
悠の一言で立ち上がり、悠の言葉に頷いた。
面会時間を過ぎたわけでもないけど気持ちを落ち着かせようと家に帰る事にした。


「あら、もう帰るの?」
声の先には…――――不敵な笑みを零す由香里さんが居た。


「由香里…」

「お前、自分が何したか分かってんのか?」
隼の一歩前に出て悠は冷たく言い放つ。
今にも飛び掛かってしまいそうなくらい怒りに満ちた悠を始めて見た。
ぎゅっと握られた拳には力が入ってるように見えた。