もう会えない君。



「犯人は…――――由香里だ」
言葉を失った。
なぜ、由香里さんが皐を…?


「俺の所為だっ」
隼は頭を抱え込んで嘆くように声を荒げた。


話の意図が見つからない。
どうゆう事なのか、分からない。
何がどうなって由香里さんが犯人なのかも分からない。


黙り込んだまま、時間だけが経ってゆく。
静かに音を立てて時計は針を動かす。


沈黙と化した廊下では看護士さんがパタパタと忙しそうに動いてる足音しか聞こえなくて。


私と悠は頭を抱え込んだままの隼を見つめる事しか出来なかった。


言葉が見つからない。
なんて声を掛ければいいのか、分からない。


だけど…。


「隼、」

黙っていても意味がないと思った。


視線をこちらに向ける隼の瞳からは涙が零れていた。
悔しい思いが籠った涙なのか、哀しみの涙なのかは分からない。


私は手を伸ばして隼の涙を拭った。