「だから、ごめん。もう俺はお前とのお遊びに付き合ってられない」
「………」
「凛に何かしたら俺が許さない。お前の親の権力であろうと俺はお前を許さない」
「……嘘」
「嘘じゃない。お前も良い奴見つけろ」
「……嘘よっ」
悲鳴に似た声がこだまする。
擦れ違う人からの視線を感じる。
でも由香里さんはお構いなしに言葉を紡ぐ。
「なんで?なんで私じゃ駄目なの?」
「…由香里」
「私の方が隼の事を想ってたのにッ!!」
「………」
「皆だって言ってたじゃん!私と隼ならお似合いのカップルだって!」
「………」
「それなのになんで…っ…そいつなのよ!」
「…お前、性格変わったよな」
「えっ?」
「小学校の頃までは誰にでも優しかったのに中学に上がってから変わったな」
「私は何も変わってない…私は何一つ、変わってない!!」
由香里さんは言葉を発すると同時に地面に鞄を叩き付けた。
擦れ違う人達もさすがに驚いたのか、立ち止まる人まで出ていた。
