もう会えない君。



でも、言い出した張本人が手を止めるのは無責任だと思い、手を止めずに食べ進めた。


「凛も無理すんな」
そう言われても責任逃れは出来ぬ!
悠の言葉に返答もしないまま、口に運んでいく。


生クリームを鬱陶しく思ったのは初めてだ。
たまに出てくるコーンフレークが甘さを調和してくれた。


「あ、隼もギブ?」

「無理だ」

「これは急いで食べるもんじゃねぇな」

「時間制限さえなきゃ、食べ切れるだろうけどな」

スプーンを置いて悠と話し始める隼を余所に私と皐だけは食べ続けていた。
残り半分という微妙な量だけが残っている。


「ちょ、凛!無理すんなって!顔色、悪いぞ!?」
心配そうに顔を覗き込む隼に私は「大丈夫」とすら返す事が出来なかった。


「凛ちゃん、あとは俺に任せて」
そう言って甘党…だと思われる皐は私の手からスプーンを没収した。


残り半分を先程と変わらないスピードで食べ進める皐を私を含めた三人は唖然としながら見ていた。


「残り時間、三十分でーす♪」
なんともテンションが高い店員さんは未だに営業スマイルだ。


三十分で食べ終える事が出来るのだろうか…。
こんな事になるなら提案するんじゃなかった、と後悔しても遅い。


…――――ここは皐に賭けるしかない。