「ちょ、凛!?どうした!?なんで泣いてる!?」
「……嬉しいっ」
「泣き虫だな~凛は。そんな安物で泣くな!」
ううん。
安物なんかじゃないよ。
隼がくれた物だからこそ、嬉しいの。
他の人じゃなくて隼がくれた物だから涙が出る程、嬉しいの。
ダイヤモンドじゃなくていい。
高価な指輪じゃなくていい。
私は隼がくれる物だったらなんでもいいの。
値段なんて関係ないよ。
だって私にはこの指輪が凄く高級な物にしか見えないから。
隼がくれたからそう見えるんだよ…。
「俺のには凛の名前で彫ってもらった!ほら!」
気付かなかったけど隼の指には私の手元にあるのと同じ指輪がはめられていた。
シンプルなデザインのペアリング。
裏に互いの名前が彫られている世界に一つだけしかない、私と隼のペアリング。
作れば一つじゃなくなるかもしれないけど隼がくれたリングは世界に一つしかない。
どんなに悩んで選んでくれたんだろう?
そう考えると嬉しさが増した。
「…ありがとう」
いつまでも泣きじゃくる私の頭を優しく撫でる隼。
久し振りだった。
ここに来るまで隼の温もりを感じる事が出来なかった。
だけど今、隼は目の前に居る。
私達は再スタートをする事が出来たんだ…。