もう会えない君。



どれくらい走っただろう?
マンションから出て電車やタクシーにも乗らずに辿り着いた場所。


そこは学校だった。


数台の車が停車しているのが見えた。
恐らく、教員の車なのだろう。


悠は私の手を離して背中を押した。


校門を抜けたのは私だけで悠は校門を抜けなかった。
壁に寄り掛かって私に一言だけ言った。


「屋上に行け」


最初は分からなかった。
だけど悠の言葉の意味が分かった私は悠に背を向け、校内へと足先を変えて走り出した。


風が吹いてる。
まるで私の背中を押すように…。


昇降口で靴を履き替え、すぐに向かった。



幾つもの段を一段一段、駆け上った。
階段が道を塞いでいるようにさえ思えてくる。
それでも…屋上で隼が待ってるなら……僅かな期待を胸に駆け上がった私は最後の一段を上り切ったと同時に進める足を止めた。


深呼吸をして“立ち入り禁止”の文字を無視し、扉を開けた。


居ないかもしれない。
でも…
もしかしたら居るかもしれない。


期待を胸に仕舞い込み、屋上へと一歩、踏み出した。