「あっ!」
突然、何かを思い出したかのように声を上げる隼。


「どうしたの?」
どうやら慌ててるらしく、隼は私の問いに答えず、ポケットの中を探っていた。


そして出てきた“ソレ”を片方の手で使いこなして私の方に差し出した。


「メアド交換してなかったから」
そう言って隼は私に[赤外線受信]と表示された画面を見せた。


私もポケットから携帯を取り出し、[赤外線送信]を押した。


互いに交換し合ったところで再び歩き出した。


隼って本当に面白い。
悠も面白いけど…隼の天然さには負ける。


なんて思いながら私は隼の隣を歩いた。


「あ、家何処?」
携帯を仕舞い終えた隼が不思議そうに問い掛けて来た。


「駅前のマンション」
そう告げると隼は明らかに驚いていた。


…そういえば悠があの時、何か言ってた。
もしかして隼が驚いた事と関係してるのかも?



私の予想は…―――見事に的中した。