もう会えない君。



「ありがとう…」
私がお礼を言うと照れ臭そうに微笑んだ。


隼の隣を歩いていると朝を思い出す。
入学式当日だというのに道に迷っていた私。
そんな私に声を掛けてくれたのが隼だった。


なんだか、これからの学校生活が楽しみ!


また隼の隣を歩く事が出来た事に喜びを感じた。


すれ違う人の視線を感じる…。
隼は自分でも気付いているのだろうか?


私が隼に視線を向けると隼も私に視線を向けて「ん?」と首を傾げた。


だから私は首を左右に振って「何でもない」と言った。


隼はどうやら天然らしい。
自分の容姿に気付いていないらしい。


いや、気付いているのかもしれないけど気付いていないフリをしているだけなのかもしれない。