仲良さそうに由香里さんと手を繋ぐ隼。
由香里さんに私の大好きな笑顔を見せる隼。
見てるだけで辛かった。
見てるだけで切なかった。
私は…
隼の一番になれなかったの?
私に気付いた隼と由香里さんは立ち止まった。
二人とも私に視線を集中させた。
「…り、ん……」
当然の如く、目を見開いて驚く隼。
その隣で微かに口角を上げる由香里さん。
「隼…」
涙が邪魔をする。
声が震えて、言葉を紡げない。
言わなきゃ…。
別れようって言わなきゃ。
後ろから息を切らした皐が来たけど振り返る事もしないまま、私は涙を拭って隼に言った。
言いたくなかった。
こんな事。
ずっと一緒に居れると思った。
来年も、再来年も、ずっと…ずっと。
だけど、それは叶わない願いだ。
私は一番になれなかったんだ。
――「別れよう」――
あの花火大会の時、隼は誰を想ってキスしてくれたの…?
