もう会えない君。



「もう…やだぁ……」
力が抜けて、手を振り解く事も出来なくて、私はその場に座り込んだ。


「凛ちゃん!」
座り込む私は未だに手を掴まれたまま。
振り解く気力すらなかった。
黙って喫茶店に居れば、見なくて済んだのに…私の馬鹿。


隼は私に気付いてない。
だって隼は由香里さんに視線を向けているから…。


いつも私に送ってくれていた視線は、由香里さんに送られている。
いつも繋いでくれていた手は、由香里さんと繋がれている。


―何があっても信じる。


そんなの無理だよ。
綺麗言に過ぎないよ。


信じたいって思った。
だけど、どうしたら信じれる?
この状況で隼をどう信じたらいいの?


「凛ちゃん、公園!公園行こう?ね?」

「………」

「立てない?」

「………」

「凛ちゃん、」

「なんで…」

「え?」

「隼に嫌われちゃった…」

「それは違っ…――――」

「違くない!私、別れる」

「凛ちゃん…っ!」

「皐くんが隠してたのは、この事だったんだね」


私は掴まれたままの手を振り解いて、立ち上がり、涙が流れる中で隼の元へと一歩一歩近付いた。