もう会えない君。



皐は何が言いたいの?
どうして呼び止めたの?
マンションに戻ったら私が傷付くって何?


聞きたい事って…隼と私の事だったの?


なんで黙るの?
何か言ってよ…。
知ってるなら教えてよ…。


口を閉ざしたままの皐は何も言わない。
残り半分のコーヒーを眺めながら口をキツく結んでいた。


喫茶店に流れる音楽が五月蝿く感じた。
失恋ソングなんか聴きたくなかった。
こんな時に、こんな場所で、失恋ソングなんか聴きたくなかった。


まるで未来を予想してるかのような曲なんか…。
歌詞を聴いてるだけで似てるように思う。


――突然の別れに涙する貴方。
――君だけでよかった。
――なのに、運命は残酷で歯車は崩れて。
――君を大切にしたいが為に君を傷付け。
――残された選択肢は“別れ”だった。


こんな歌詞…聴きたくなかった。


早く終わればいいのに時間とはそう簡単に進まないもので。
何度、時計を見ても時間はあまり経ってなくて。
耳を塞ぎたくなったけど塞いでしまえば全てを受け入れる事になりそうで。