もう会えない君。



「あれ?鈴木さん?」
聞き覚えのある声に振り返ると隼の姿があった。


「びっくりした。夕飯の買い出し?」
隼は微笑みながら私に近付いた。
私は隼の問いにこくんと頷いた。


びっくりしたのは私も同じでこんな所で会うなんて思ってもみなかった。


「鈴木さんって一人暮らし?」
そういえば、隼に一人暮らしだって事、言ってなかったっけ。


「うん。家に帰ったら冷蔵庫に何も無くて…」

「あー…それで買い出しか。偉いね」

「全然、酒井くんはどうしてここに?」

「俺は調味料買って来いって言われて買いに来たんだ」

「そうなんだ。酒井くんも偉いじゃん」

「鈴木さん程じゃないけど…あっ!よかったら一緒に帰らない?送るよ」

「えっ?悪いよ…」

「いいって!俺、買い物済ませたから外で待ってるね!」
そう言って隼は私に笑顔を見せて出入口へと向かった。


待たせちゃ悪いと思った私は急いで買い物を済ませ、隼の待つ場所へと向かった。


隼は近くのベンチに腰を下ろしていた。


「おまたせ」
私が声を掛けると隼は私から荷物を取り上げると、

「重いだろうから俺が持つ」
と言って優しく微笑んだ。