だから10月の学園祭を終えた後の定期考査では学年三位にまで上り詰めた。
さすがに先生も驚いていた。
普段、真面目に授業を聞かずに空を見てる私だからこそ驚いたんだろうけど。


張り出された順位を見て驚いたのは私だけではなかった。


隼が学年五位で、悠が学年九位。
二人とも私の勉強に付き合わせちゃってるからお互い成績が上がって一石二鳥。


悠は飛び跳ねて喜びを表していた。
…というか、悠は呑み込みが早過ぎるんだと思う。
この前も授業中に居眠りしてたのに計算問題を余裕で解くし…悠の頭の構造はどうなってるんだろうって思ったけど敢えて口にしなかった。


「あれ?校門前に居んのって…」


いつものように帰り支度をしてると悠の視線が一点に集中していて、視線の先には…――――幼馴染の姿があった。


「隼の幼馴染だよな?」

「うん…」
私も悠と同様に校門に視線を向けてた。
そしたら隼がいつもみたいに私と悠の席に来た、まではよかったんだけど…隼は私と悠が向けてる方に視線を移した事により顔色を変えた。


そして、

「悪いんだけど今日、一緒に帰れない」

隼はそう言い残して教室を出てった。


なんでなのかは分からないけど焦ってるように見えた。
気の所為かもしれないけど廊下に出た途端、走ったように見えた。


不安が襲う。
なぜ、由香里さんがこの学校に来たのかが分からない。


もう一つ不安になる理由がある。
焦ってるように見えた隼。
廊下に出た途端、急いで向かう隼。


本当に…大切なのは……誰なの?