もう会えない君。



閉め切ったカーテンを開けるとオレンジ色の夕日が沈みかかっていた。


私はベランダに出て空を眺めた。
微風が下ろしている髪を揺らす。


薄らと浮かぶ三日月。
沈みかかる夕日。
今日という日が終わろうとしている。


街には明かりが灯され、輝きを放つ。
このマンションも間もなくで明かりが灯されるのだろう。


駅前は仕事を終えたサラリーマンや時計と睨めっこをしながら先を急ぐOLでいっぱいだ。
中には学校の制服を身に纏い、集団で行動する人達も居た。
友達との会話を弾ませている人も居れば、好きな人の隣で微笑む人も居た。


…私にもいつか出来るだろうか?
あんな風に笑い合える友達、お互いを思い合える大切な人が私にも出来るだろうか?


空は色を変え、夕日は沈んで夜が訪れていた。


真っ暗な部屋に明かりを灯そうとベランダから室内に移り、部屋の電気を付けた。


「疲れた…」
呟いた言葉すら、寂しく感じる。


携帯を開いても何の連絡もない。
両親からは一度も連絡をもらった事がない。


登録してるのは養護施設の先生、ただ一人。


――「辛くなったら連絡してね」
施設を出て行く時に先生が言ってくれた言葉だけが救いだった。