ある程度、館内を回った私達はイルカショーを見た。
水しぶきが飛んでくるだけで歓声が上がってて私と隼は水しぶきが当たるたびに笑った。


時間は早いもので時刻は既に閉館する時間帯だった。


満足した私達は館内を出て、最寄駅に向かう。
今日一日、ずっと隼と手を繋いでいた。
イルカショーの時も館内を回る時も逸れないようにずっと。


それは電車内でも変わらない。
繋いだ手は離される事なく、握られている。


「楽しかったね」

「イルカショーはやばかった!」
なんて会話をしながら電車が来るのを待った。


こんな些細な時間ですら、楽しくてたまらない。
隼と居るだけで楽しいと思える。
隼が隣に居るだけで安心出来る。


電車が来ても二人の会話は尽きる事なく、マンションに向かう際も続いた。



だけど…
私達の未来は脆く、儚く、消え去ろうとしていたんだ…――――。


由香里さんの行動は単なる“悪夢の始まり”に過ぎなかった。