揺れる車内は空いていた。
まだ帰宅をする人は少なかった。


「夏休み最終日に祭りあるの知ってる?」
隼の問いに首を縦に振った。


「一緒に行かね?」

「えっ…」
それはつまり、私達の初デートって事?


「折角だから一緒に行かないかなーと思って」

「行く!行きたい!」
私がこう答えると隼は満面の笑顔を見せてくれた。


まだ先の話だけど楽しみが出来た事に変わりはない。
来週に行われる近所のお祭り。
最後に行ったのは…私が5歳の頃だった。


だから凄く久しぶりのお祭り。


一人で行くんじゃない。
今年は大好きな人と行ける。


嬉しさから笑みが零れる。


夏休みは憂鬱だった。
長くて宿題が多くて一人で孤独を感じて…。


だけど今は違う。
夏休みという長期休みを有難く思う。
憂鬱に思わなくなった。
それは隼が隣に居てくれてるからだね。