席を見張る人が居なければならない、という事で悠にお金を渡して注文する品を頼んだ。
見張りをするのは私と隼の二人にしてくれたのは悠なりの気遣いだったんだと思う。
「今更なんだけどさ、」
「うん?」
「…今日の服、可愛いな」
照れ臭そうに頭を掻きながら言う隼。
やっぱり好きな人に言われると嬉しいものでトクンと高鳴る音がした。
「そう言ってもらえてよかった」
「まあ何着ても凛は可愛いけど」
「……隼くん…恥ずかしいです」
「えっ!?なぜ“くん”付けっ!?」
「何となく、じゃ理由にならない?」
「う~ん…理由って事にしとく」
「隼の私服だってカッコいいよ」
「まじ?凛に褒めてもらえてよかった」
そう言って隼は頬を赤く染めた。
隼が笑うから私も笑える。
隼が喜ぶから私も喜べる。
隼が居るから私はココに居る。
ねえ隼…?
この時に貴方が買ってくれたコンビネゾンの服は今でも大切にしてるよ。
夏になるたびに隼を思い出すの。
また言ってくれるんじゃないかって思って期待をしてしまうの…。
「可愛い」って言ってくれるんじゃないかって。
…だけど、隼の言葉で聞く事は出来ないの――。