「凛?」
首を傾げて、こちらに視線を送る悠。
だけど私は返答すらしないまま、考え続けた。
言葉の意味が分からない。
どうゆう事なのだろう?
なぜ隼が悠を嫌う必要があるのだろうか?
疑問は浮かぶ一方で一向に解決しそうにない。
「どうかした?」
気付くと悠が私の目の前まで来て、顔を覗き込んでいた。
丁度、悠と視線が合った。
心配そうに見つめる悠の瞳に吸い込まれてしまいそうだ。
私はすぐに視線を逸らして作り笑いを浮かべた。
「なんでもない」
そんな言葉を吐き捨てて再び桜並木の下を悠と共に歩き始めた。
二人の間には沈黙は流れる事はなかった。
悠が気遣って私に声を掛けてくれたから。
立場が逆転するとはこうゆう事なのかもしれない。
さっきまで話題を出そうか、出すまいかと悩んでいたけど悩む必要はなかったみたい。
多分、私が考え込んだから悠が心配して何度も声を掛けてくれてるのだろう。
朝の隼と同様に会話が途切れないように言葉を紡ぐ悠。
必死になっているように見えるのは私だけ?
遂には昨日のテレビ番組の話にまで突入してしまった。
