もう会えない君。



勘違いして勝手に失恋したと思い込んでいた自分が恥ずかしい。


安心したからなのか、涙は自然に止まっていた。
…その代わりに頬が赤らめて茹蛸状態になったのは言うまでもない。


顔を覆って隠す私に隼は更に言葉を続ける。


「俺さ、中学ん時に彼女居たんだけど…彼女に好きな奴が出来てフラれたんだ。それ以来、彼女を作ってない。それでこの高校で出会った凛に一目惚れして片想いしてたんだけど凛に皐が好きだって言われてフラれたんだって思ってた。だけど…それは違うって言ってくれたから俺、諦めなくてよかったって思ったんだ」


隼も私と同じ気持ちで居てくれたの…?
それ以前に私より先に好きで居てくれたの?


だから悠の彼女のフリをしている時、庇ってくれたんだ。


今になって思い出せば…
隼は何かと私を守ってくれていた。


傷付かないように、優しくしてくれていた。


一人で孤立していると隼は人波を掻き分けて私の所に来る。
友達とも話さずに私の所に来てくれる。


どちらかといえば、クラスの人気者の隼と悠。
女の子にも人気は高くて男の子にも人気で…。


だけど時間を見つけては私に話し掛けてくれる。
接してくれて、私が孤立しないようにしてくれていた。


優しさは日常を思い出せば、いくらでも見つけられたんだ。


なんで気付かなかったんだろう?
それは私が当たり前化していたからなのかもしれない。