もう会えない君。



「…はや、とが…謝る…ッ…必要ない……」
振り絞って出した声は嗚咽混じりで何て言ってるのか分からなかったかもしれない。


でも隼の瞳が寂しそうになったのを見て思った。
隼は嗚咽混じりだったとしても聞き取ってくれたんだ、と。


「俺が言いたい事、分かる?」

「……無理、でしょう?」

「え、なんでそうなるんだ?」

「隼には…彼女が居るから無理だって分かってた」

「………」

「だから無理だって事も…――――」

「いや、え?ちょ、待って!」

「………?」

「俺がいつ彼女が出来たとか言った!?」

「…えっ?」

「居ないんだけど。彼女とか作ってないし」

「だって駅前で…っ…」

「駅前?」

「隼と見知らぬ女の子が会ってるの見た…」

「あー…もしかして由香里の事?」

「…由香里?」

「そう!そいつはただの幼馴染だよ」

「…幼馴染……」


どうやら私は大きな勘違いをしていたらしい。
駅前で見掛けた女の子は隼の“彼女”ではなくて“幼馴染”だった。