「り…っ…泣くなよ……」
無視していいのに。
存在を今だけ消してくれてもいいのに。
隼はそんな人じゃない。
無視もしなければ、私の存在を消す事もない。
涙が自由自在に操れたら私は今すぐに涙を止めて君に笑顔を見せるのに…。
人間の仕組みにそんな優れた機能はない。
だから涙が流れ出たら止まるまで待たなければならない。
「……俺、まだ話終わってないんだけど?」
「えっ?」
涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げると隼は私を心配そうな瞳で見つめていた。
今にも泣きそうで、とても切なそうな表情を浮かべる隼と私の視線が重なった。
「やっと顔上げてくれた」
ホッとしたような安堵した表情に変わる隼は私の頭を優しく撫でた。
そして私の目線に合わせるようにその場にしゃがみ込むと私の頭を撫でながら言葉を紡いだ。
「さっきは驚いたよ。でも、ありがとな!まじで嬉しかった。凛から告白されると思わなかったから……なんか…ごめんな?」
“ごめんな”なんて言わないで。
君の口からその言葉だけは聞きたくないから。
私は困らせてばかりだね。
いつも君を苦しめていたのかな?
