もう会えない君。



なのに…

「あれ?…や、やだなぁ」
なんで私は泣いてるの…?
分かってたはずなのに、覚悟して伝えたはずなのに。


何度も零れ落ちる涙の滴。
堪えようとしても堪え切れない。


唇を噛み締めて私は袖で流れ出る涙を拭って、校内へと足先を変えてダッシュでその場から立ち去った。


見られたくない。
隼に泣いてる所なんて見られたくない。


私が泣いたら、隼が困るでしょう?


だから私は階段を駆け上った。
何度も続く階段を駆け上って最上階である屋上まで辿り着いた。


乱れる吐息だけが廊下にこだまし、それと共に啜り泣く声だけが響いていた。


“立ち入り禁止”の文字が歪んで見える。
私は錆び付いた扉を力一杯に開けて外に出た。


空は…こんなにも綺麗な青空なのに私の心は悲しく嘆いてる。


扉が静かに閉まり、私はその場に座り込んだ。


止めでなく溢れ出す涙を拭い切れなくて私は膝を抱えて泣いた。