「…凛、」
顔を上げると隼は優しく微笑んでいた。
「ごめん」
たった三文字の言葉がどうしてこんなにも胸に深く突き刺さるのだろうか?
分かっていたはずなのに…
いざ、言葉にして聞かされると切なさでいっぱいになった。
私はどんな顔をすればいい?
笑ったら…隼は安心してくれる?
――風が吹く。
ざわついていた声はいつの間にか薄れていった。
草木が揺れる音だけがやけに耳に響いて聞こえた。
後悔なんてしてない。
素直になれた事を誇りに思う。
駄目だったからって諦めたりしないよ。
鈴奈さんのように一途に頑張ろう。
振り向いてもらえなくても…諦めたりなんかしないよ……。
だって私、こんなにも隼の事が好きなんだもん。
簡単に諦められるわけないじゃん。
隼の一番になれなかったとしても二番でもいい。
私は隼の傍に居れたら、それだけで…――――充分だから。
