だけど…

私が待ってた君は…――――眠そうに欠伸をしながら少し遠くから学校へと一歩一歩、近付いていたんだね。


見えない所に居た。
隼を見つけただけでトクンと高鳴る心臓。


やっと来てくれた。
やっと…素直になれる。


徐々に近付いてくる隼は私にまだ気付いていない。


一歩、また一歩と正門へと近付いてくる隼。
壁に寄り掛かったままの私の目の前を通過していく生徒達。


トクン…
トクン…
心臓が五月蝿く騒ぎ出した頃には隼が数歩手前で足を止めていた。


「あれ?こんな所で何してんの?」
耳に付けていたイヤホンを外しながら私に問う隼。


私は小さく深呼吸をした。
心臓はまだ五月蝿く騒ぎ出している。


生徒達もまだ少し居る。


余計に緊張が走った。
私は騒ぎ出す心臓を落ち着かせながら一息吐いた。