もう会えない君。



『分かった。渡辺には体調不良って言っとくな?』

「ありがとう」

『明日は来れる?無理なら迎え行くぞ?隣だし』

「多分、行く。一人で行けるから大丈夫」

『そうか?帰りに悠と見舞い行ってやってもいいぞ』

「絶対来ないで」

『はいはい、じゃあ明日な?』

「…ん」

『じゃーな』

「ばいばい」

『…――――』


切れた電話を眺めながら、隼の優しさに自然と涙が流れ出た。


…諦めきれないよ……。
隼の事、忘れられないよ。


好きだって気持ちを失くす事なんて出来ない。


心に仕舞い込んで鍵を掛ける事なんて出来ない。


私は隼が好き。
隼じゃなきゃ駄目なんだ。