もう会えない君。



まだ半乾きの髪をタオルで乾かしていると携帯が鳴った。


誰だろう?
私はテーブルに置いてある携帯に手を伸ばした。


【着信:酒井 隼】


…隼からの電話だった。


胸が高鳴る。
五月蝿く騒ぎ出す…。


私は深呼吸をして強く通話ボタンを押した。


「…もしもし」

『あ、凛?』

「うん」

『学校来てねーの?』

「うん」

『体調でも悪いのか?』

「ううん」

『じゃあ、何かあったのか?』

「ううん」

『雨だから来たくなかった?』

「うん」

『……なんで相槌だけなんだよ』

「うん」

『今から行こうか?』

「ううん」

『んー、行く』

「…いい」