もう会えない君。



「それじゃ、またね」
皐は手を振って私とは反対の方向に歩いて行った。


しばらく皐の背中を見てた。
小さくなるまでずっと皐の背中を見てた。


徐々に小さくなって見えなくなった皐の背中。


私は皐が好きなのに…
皐、君は誰が好きなの?


どうして出会ってしまったんだろう?


なんで君を好きになってしまったんだろう?


――“隼の事、好き?”
どうして…そんな事を聞くの?


皐はなんで私にそんな事を聞いたの?


だけど…
私はなんで隼に対する気持ちが分からなかったんだろう?


不思議。
好きなのは皐のはずなのに隼に対する気持ちが見つからないの。


嫌いじゃないのは確か。
でも…
好きなのかも分からないの。


私は…
一体、誰が好きなんだろう?