「んー…」
返答に悩んでいると軽快な音を立てて扉が開いた。
タイミングが良いのか、悪いのか…
どちらとも言えないのが現状なのだけれど。
エレベーターから降りても答えが見つからなかった。
「あ、ごめん。忘れて?」
答えに悩む私に皐はいつものように笑みを浮かべながら言った。
だから私は答えを探すのを止めた。
そして答えられない代わりに皐にこう聞いた。
「皐は、好きな人居るの?」
突然の質問に案の定、皐は驚いていた。
「どうでしょう?」
曖昧な答えだけを残して先を歩く皐。
…皐は好きな人が居るの?
君を知りたいのに、知る事が出来ない。
こんなにも切ないのが恋ならば、ときめかないように心に錠を掛けてしまいたい。
だけどね?
恋って、そう簡単じゃないの。
好きになるのは簡単なのに嫌いになるのは難しい。
だから恋愛は難しいものなのかもしれない。
