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「好き」って言葉の意味は、いくら考えても分からない。
それは私の頭悪いからなののか、それとも、それほど難しい問題なのか。今、ただ一つ確かなのは、私が宵を好きだということ。その宵が私をどう思ってるかなんて分からないし、私も別にそれでいい。
私と宵と都は仲が良い。基本的に、いつでも3人一緒だ。私だけが別のクラスだけれど、それでじゃあさようなら、と、まぁそこまで脆い絆ではない。
所詮人間の絆なんて、蜘蛛の糸と変わらない。それでも、私達はそれを失ってしまわないよう、切れかけの命綱にしがみついている。それがもし切れそうになったら、人はどうするのか。その繋がりはさっさと諦めて、別の繋がりを築く者。いつまでもその絆に固執して、やがて切れるギリギリまで繋がりを望む者。そして、他人の糸を騙し千切り取って、自分の永遠を築く者。
これが、アタシだ。
宵の傍にいるために、大橋さんを孤独にした。爽香の秘密をバラした。「カナが宵の悪口言ってたよ。」とこぼした。沙和の悪口を言った。そこまでしても私は宵の傍にいたかったし、他の人にもバレない自信がある。私にとって私以上に大切なのは、宵と詩依だけで、他は都でさえ、どうでもよかった。
