家族全員がその物体を見詰めた。

全員が息を飲んだ。

そして全員が固まった。

おそらく何かの冗談だろうが、其処には赤い帽子に赤い服。更に顔も赤ら顔で米神から顎にかけて伸びる白く長い鬚、デフォルトが笑顔であるかの表情と成人病検診で絶対引っ掛りそうな体格に、それと同じ位の大きさの白い袋。

長々と説明してしまったが、一言で言えば要するに「サンタクロース」である。

――家族全員が顔を見合わせた。

これを仕掛けたのは誰だ、という顔で。そして、暫く沈黙した後に、長男が言った。