「ありがとう」





隣のテーブルから、女性の感極まった声が聞こえた。



横目で見ると、小さなケースから指輪を取り出すところだった。



彼女の目が、潤んでる。



あたしは、テーブルの下で、左手の薬指にはめた指輪を右手で握りしめた。