源次郎さんは指差した方に停まっている車まで歩いていく



すると遠くでカラスが3匹、鳴いているのが聞こえた



小学校低学年の子達が、虫カゴと網を持って俺達の横を走り去っていく



そのまま土手を下り、カゴと網を放り投げ川へ飛び込んでいく



楽しそうに水浴びする声が響く



現代では、どれも見られない光景だ



日が傾き始めてるのも手伝ってか俺はすごく切なくなった



時代が変わってしまったことが悔しかった



便利になる一方で、大切なものはたくさん失われている



それを取り戻すことは決して簡単なことじゃない



むしろとても難しいことだ



…自由研究が出来そうだな



『もうすぐ…夕飯だな』



『だよね、よっちゃんに言っといた方がいいよね』



『行く途中に寄ってもらおう』



『…そうだね』



このゆずの言葉が、俺の悔しい思いに賛同してくれたみたいに聞こえ、俺は嬉しくなった