「あ〜、せっかくみんなで作った資料がぁ……」


あたしはガックリ肩を落とす。


「ごめん……。そんな大切な資料だと思わなくて」


気まずそうに言う瑞模君。


……確かに大事な資料ってのもあるけど。


みんなが苦労して朝から頑張って作った資料なんだよ?


それを、こんなにされたことが許せない。


「………もういいよ」


……許せないけど、こんなんで怒ってるのが馬鹿馬鹿しくて、あたしは呆れた声を出した。


「うん……。本当にごめん…」


「いいけど…、もう少し大事にしてほしいな」


「うん。マジごめん」


「………あたしばっかに謝んないでさ、静原先輩とか神村君とか、三役の人全員に謝ってほしい。
この資料、みんなが必死になって作った資料なんだよ」


あたしが伝えたかったのはそこ。


だから謝るなら作った人に謝ってほしかった。


「本当に、すみません……」


「ただの資料だし、いいよ。でも、大切なことも書いてあるんだから、もっと大事にしてね」


そう、静原先輩は言った。