「でも、瑞模君なら絶対無視して帰ると思ってた」


だってそうじゃない?
今までの瑞模君の行動みてたら無視して帰ってそうなんだもん。


「ん〜、俺もそうしたかったんだけど、担任が『出なきゃ留年させる』とか言うから、仕方なく」


そう言う瑞模君は本当に面倒くさそうな顔をした。


………そんなに出たくなかったなら、留年とか気にせずに帰ればよかったのに。


「………ふふっ」


なんか段々面白くなってきちゃった。


留年っていうものに怯えて仕方なく出た瑞模君が可愛く思えて。


あんなに遊んでばっかなのに、留年怖いんだなぁって思っちゃった。


「なーに、にやけてんだよ」


瑞模君にそう言われて、持っていた資料でポコッと叩かれた。


「いたっ……!……ってか、なに丸めてんのよ!大事な資料なんだから丁寧に扱って!!」


あたしは瑞模君の手から資料を奪って丸まっているのを広げる。


………でも、一回丸まった紙は中々元には直らなくて。