「4月に、あっちに行くことになったから」
「………」
そう、たった一言…
「もし、サラが別れたいならそれでもいい」
「………」
「ごめんな」
ポンポンと私の頭を撫でる
その手が、すごく優しくて…愛しくて
頬を次々に涙がつたっていくのを止められない
「…サラ」
「あは…は…」
恋人が遠くにいくだなんて、どこかの古い恋愛ドラマみたいだ
しかも、別れたいなら別れるだなんて…
「千尋先生、そーゆう時は"帰ってくるまで待ってろ!"って言うのが基本ですよ?」
「……」
「……」
「それは、いえない」
「…っ」
「何年で帰ってくるかも分からない。約束できない未来は期待させたくない」
「…」
約束できない未来か…
先生は、もう
私と離れることよりそっちのほうが思いが強いんだ
くやしい、な……
「………」
「サラ…」
「ごめんなさい…」
「…?」
「ひとりに…して下さいっ」
もう先生の近くいたくない
じゃないと、行かないで!って
きっと先生を困らせてしまう
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