懐かしい。
下駄箱のロッカーを開けるのは
何日ぶりだか分からない。
「………あれ?」
一度ロッカーを閉める。
ここ俺のロッカーだよな。
うん出席番号6番、合ってる。
再び開けて、確認。
「…上履きがねぇ……ぇ?」
どこを見てもない。
三段あるロッカーの中には、
教科書がどっさり詰め込まれている。
だが、他には何もない。
ないないない。やっぱりない。
俺の心の中で、
『いじめ』という言葉がよぎる。
いや?これは、いじめなんかじゃない。
きっと俺のファンが持って行ったんだ。
しょうがない。
俺を好き過ぎての行動なら許してやろう。
うざポジ(ウザイくらいポジティブ)を
駆使してなんとかその場をやりきった。
…今日は靴下で1日を過ごすのか。
教室も廊下も歩くだけで綺麗に出来る。
なんてエコな男だ俺。
冷たい廊下を綺麗に靴下で拭きながら
下駄箱を後にした。


![[you know]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre13.png)