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「きょーも俺はダメ人間ー♪」

屋上で陽向ぼっこしながら
自作の歌を歌ってみる。

「あしーたもきっと…あぁ゙~」

歌い途中で急にうなだれた杏平。
容量の少ない頭の中は
麻依ちゃんの体の傷でいっぱいだった。
突然、うなだれていた頭を
ガバッと頭を上げると
なぜか照りつける太陽を憎らしげに睨む。

「…俺、ダメ人間……?」」

眩しすぎる太陽に問いかける姿は滑稽で、
独り言ともとれるその言葉は
誰に聞かれるでもなく、
湿った空気に溶け込んだ。

答えのない難題をひたすらに
頭の中で解こうと躍起になっていた杏平は
そんな自分を見つめ続ける存在に
気付くこともなく、
昼休み終了の合図とともに重い腰をあげて教室への道を歩き出した。