「ほーら、麻依ちゃん。
いっぱい食べてね」
ニコニコしながら
もっさりと麻依ちゃんの取り分け皿に
おかずを乗せていく母さん。
麻依ちゃんは無口だ。
今も頷いたり首を横に振ったりして
母さんと会話っぽいものをしている。
親が蒸発してうちに預けられたってことは言い方は悪いけど、
親に捨てられたってことか。
どんな心境なんだろうな。
デリカシーがなく無神経と言われてた俺が
こんなこと思うなんて人間として成長した気がしなくもないな。
「ほら、杏平も」
麻依ちゃんの皿に
乗せられなくなったおかずが、
俺の皿に回ってくる。
たくあん。たくあん。たくあん。
まさかの、たくあんオンリー!!!
皿が黄色い。
黙々と夕食を続ける麻依ちゃんたちに
背を向けて、早々と俺は部屋に戻って寝ることにした。
別におかずがたくあんしか
貰えなかったからって、
ふて寝する訳じゃないからな…
眠いんだ。
眠いんだよ、フランダース。
俺は深い眠りに落ちた。