「…はい、消しゴム」
俺は紳士に優しく
拾った消しゴムを片手に顔をあげた。
って落としたの男かよ!
ポイッと足元に、
拾った消しゴムをもう一度捨てた。
コロコロと転がって
次は千草の足元へたどり着いた。
するとふいに視界をかすめた、
『内野』という文字。
「え…千草、…お前が俺のファン?」
視線を上履きから離せない。
「…キモいこと言うな。
こないだ上履き忘れてお前の借りたの忘れてた。
今すぐにでも返してやる。
ファンじゃなくて、残念だな笑」
お前だったのかー!
俺の淡い期待と夢を返せー!
ポイッと脱ぎ捨てられた上履きに
足を入れる。
うわ、生暖かくて気持ち悪い。
とにかく、俺の上履きは返ってきた。
めでたしめでたし。
P.S.あの女子にはあの日から
少し距離を置かれています。


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