机に突っ伏したままでいたら、
そのまま寝てしまったようだ。
目が覚めたら
教室には誰もいなくなっていた。
もう放課後かー。
よし、帰ろう。
すくっと立ち上がって
下駄箱への階段を下りようとしたとき、
ちょうど良く下から女子が上がってきた。
「内野くん?どこ行くの?」
すれ違いざまにかけられた声に
胸がドキドキした。
今まで女と言えば母親くらいとしか
関わってこなかったせいだと自分を恨んだ。
「教室にみんな居なかったから、帰るよ」
「まだ授業あるけど?」
「え?そうなの。じゃあ止めた」
下りようと階段にかけた足をとめて、
教室の方に足を向ける。
歩き出すとさっきの女子が後ろを付いて来る。
「ねぇ、内野くん上履き」
お、こいつが俺のファンだったか。
「好き過ぎての行動だろ?
別に返さなくて良いから」
言わせるのはかわいそうだから、
俺から言ってあげた。


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