「わ、亘ッッ!」


俺は大きな声で亘を呼んだ。

しかし
亘は一度も振り向かずに
帰ってしまった。



沙葉は黙って
散らばったクッキーを
拾い集めている。


俯いているから顔は
見えない……。



でもね?
俺には分かる。


君は泣いている。



涙を必死に堪えているけど
それと反するように
涙は次から次へと流れていく。




そんな沙葉に
俺は声をかけることが
できなかった。




だから――――