あの頃の私は、彼に勝ちたかった。

そんな彼は、私の速さを認めてくれた。

「もう俺を抜いたな」
と。

それでも、一度たりとも勝ったとは思えなかった。

バイクや車での表面上の速さではなく、その内面で勝ちたかった。

彼の全てに勝ちたかった。