「そっか。大丈夫だよ、お姉ちゃんがついてるから・・・」


そう言って、浅木は白のカバンからピンクのハンカチを取り出した。


それを、持っていた水筒の水で濡らして、そっとガキの怪我のとこを抑えた。



バンソウコウを貼って、ガキを立たせてズボンのほこりを掃った。




「よし!これで大丈夫だよ。」


「・・・・ヒック・・ウグ・・・」



まだ泣いてるガキの手に、浅木は飴を二.三個置いた。



「それ、元気になるおまじないが入ったアメだよ。それ食べたらすっごい元気になるから!」


「・・・ほ・・ほんと?」


「本当だよ~?だってお姉ちゃん、それを食べて毎日元気なんだもん!」



俺は、そういう浅木に鼻で笑った(ガキの扱い上手いなって思って)。




浅木の言ったとおり、ガキはその飴をポンッと口の中に入れた。


そしたら、しわくちゃの笑顔で



「美味しい!!ホントだぁ!元気になったあ!!!」



さっきの泣き顔はどこへやら、子供らしい笑顔に戻っていた。


次の瞬間、俺の何かが動いた。



「でしょ?」


そう言って、微笑んだ浅木。初めて笑った顔を見た。


それも、なんの偽りのない綺麗な笑顔・・・・



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そうか・・・俺は、アイツの笑顔に惚れたんだったよなぁ・・・。



地味というイメージががらりと変わった。