「夏目先輩、少しは寝ないと身体壊しますよ。」

「え?」

「もう2日も実験室に籠りっぱなしじゃないですか。」

「あぁ…。そんなに経ってたんだ。気付かなかった。」


はぁ…。
後輩は呆れたように溜息をつくと「研究も良いけど、もう少し他のことにも目を向けたほうがいいっすよ。」と言い残して実験室を出て行った。


2日寝ていない。
気付くまでは、何も感じなかったが、気付くと不思議とどっと疲れと眠気が襲ってくる。

さすがに、今日はアパートに帰って寝たほうがいいかも知れない。

机の上に山のように残っている実験データの量を考えると、寝ている場合ではなかったが、これ以上働かない頭で続けても無駄だと割り切ることにして、帰宅する準備を始めた。


簡単に机の上を整理して、必要なものをバックに詰めると、実験室の隣の研究室に「お疲れ様です。夏目、お先に失礼します。」と声をかけて大学を出た。