悠梨と一緒にいるのは、楽と言えば楽。
話したくないことを、無理矢理話さないですむから。
だけど、たまに悠梨は必要最低限のことしか話してくれないから、わからなくなるときがある。
それが原因で一年に2、3回大喧嘩するときもあるけれど。
いつの間にかやっぱり仲直りしていたりする。
友達だから、親友だから、全てを話すわけじゃない。
私にだって、話したくないことだってあるから何と無く、理解できる。
「こんにちはーっ」
黒板に一生懸命、今日の目標を
書いている音楽の先生に、
挨拶をしながら、音楽室に
足を踏み入れれば、音楽室の
独特な匂いが広がっていた。
黙って席に着いたところで、丁度目標を書き終えたらしい先生が皆に着席するように、と声をかけた。
「お願いしまーす」
気は重たいまま授業の挨拶をして、一限目の音楽が始まった。
「では今日は合唱コンクールの指揮者と伴奏者とパートリーダーを決めます」

