皆の視線が一瞬にして私に向けられる。
その中で、真奈ちゃんだけがこっちを向いてなかった。
「……愛美ちゃん、そういえば去年も伴奏やってたよね」
皆が次々と口を開いていく。
どうしよう…………
悠梨が言ってくれたものの、肝心な私はまだ、悩んでいた。
去年の伴奏は、指揮者が初心者で息が全くあわなくて、ピアノが独り歩きしてしまったんだ。
なんとか、最優秀賞はとれたものの一年生の時だったから皆、賞にどんな意味があるのか、わからなかった。
だけど、………今年は違う。
二年目だから皆今年は気合いをいれていく。
そして、何より
去年の真奈ちゃんのクラスの子は、合唱コンクール前日に、新任だった担任が原因でクラスが二つに別れてしまって、あまり良い思い出が無かったらしく、
ほかの人以上に気合いが入っていた。
…だからこそ、申し訳ないのだ。

