―――ガラッ。

教室に入ると、賑やかだった教室が、突然水を打ったように静かになった。

皆、私を何か汚らわしい物を見たかのような目で見つめ、またそれぞれ笑いながらお喋りする。

誰も「おはよう」と言ってくれなかったけど、もう慣れた。1年の時もそうだったし。

すると、一際高く、甘ったるいソプラノボイスが耳に突き刺さった。


「えぇ~……あたし、また星野 莢可と同じクラスなのぉ~?」


聞こえるぐらいの声でそう言ってきたのは―――――――梨本 美夢。

愛称「ミーちゃん」。
小学生のころからの同級生でもあり―――――私を今みたいにした、張本人。
性格は当然悪い。
でもって、超ぶりっ子である。私以外の人にだけだけど。
私にだけは、黒く、その醜い本性を露わにする。


まさに、小説とかに出てくる悪女を、現実に引きずり出してきた感じの女だ。



近くでは、3人の女子生徒が美夢を取り巻いていた。
まるで、私から美夢を守るみたいに、自分の背中に彼女を隠しながら。