仮病に口止め料


話を戻そう。
もしかすると、朝は軽い症状だったから深く考えずに体育をして、徐々にひどくなっているのかもしれない。

アルバイトをサボるのにピッタリな微熱というよりは、普通に高熱のような気がする。


心配になったせいで、無意識のうちに俺は(保護者面をするのが趣味だから)きつく眉を寄せていた。



「保健室行こっか?」

ベース、あるいはピアノの左側並に内臓へと響くなるべく低い声を操り、先生に体温を計ってもらおうと提案するも、

返事を聞く前に「いや、やめとこ」と、自分で却下した。


というのも、病人よりは仮病の重症患者が集う保健室に世話になると言っても、

市販の薬を飲んで、嘘か本当か分からない頭痛軍団の私語が喧しいベッドルームで眠るくらいだから、

(医療の知識がない俺だが)、しんどそうな彼女はゆっくり家で休んだ方が良さそうに思えたためだ。

これぞ愛ゆえに働く(お節介な)総合的判断である。