仮病に口止め料



……――――なんてセンチメンタルに浸れば女子がほっとけない男子に立候補できるのだろうが、

すれた俺だと大根役者の純愛演出にしか思われないため、おとなしく中断しておこう。


恋人の心を把握できない切なさ?
そりゃあそうだろう。

俺は女子が胸キュンするスペシャルヒーローと違うから、例えば今、彼女が泣きながら走り去った場合、どこへ捜しに行けばいいのか見当もつかない。

何も知らない、顔が可愛いくらいしか知らない。

将来の夢とか中学の友達周りとか家族との関係とか、深夜未明に公園あたりで深く語れば入手可能な情報はまだ聞き出していない。


こんな俺のせいで、せいぜい茹でた人参は嫌いなのに野菜スティックの人参は食べれる変な舌をしていることくらいしかデータがない訳だ。